トピックス
- 緊急提言
- 2011年6月3日:イベント開催
トーキングバリアフリー:あなたのカラダ、借りてもいいですか?
話題提供:熊谷晋一郎、綾屋紗月、田中みわ子、大河内直之、飯野由里子、星加良司
技術サポート:高橋麻衣子
〈概要〉
あなたを障害者の「手足」として使ってもいいですか?
「介助者手足論」と呼ばれる考え方があります。他者を自分の手足のように扱おうというこの理念は、ずいぶん乱暴なもののように聞こえます。一方で、町に出かけるとき、食事をするとき、人と会話を交わすとき、常に他者の介助を必要とする障害者にとって、介助者があたかも自分のカラダの一部であるかのように動いてほしいと思うこと。それは、「手足論」という言葉の過激さとは逆に、非常にささやかな願いであり、その中には障害者の生が他者によって管理されてきた現実への抵抗の思いが込められてもいます。
ただし、そこには幾つもの課題があります。そもそも、他者を手足のように動かすこと、他者の手足のように動くこととは、どういうことなのでしょうか?それは、障害者・介助者双方にとって、どのような経験なのでしょうか?また、それは「自己決定」の問題とどんな関係にあるのでしょうか?さらに、それらを踏まえて私たちはどのような介助関係を模索していくべきなのでしょうか?
今回は、東京大学先端研でバリアフリーに関わる研究を行っている若手研究者による話題提供を受けて、こうした課題について皆さんとともに考えてみたいと思います。また、このイベントは、先端研キャンパス公開の「バリアフリー・ラボ」という企画の一環として実施し、「デジペン」という道具を使って、皆さんの意見や疑問をリアルタイムでディスカッションに反映することを試みます。ぜひお気軽にご参加下さい。
記
日時:2011年6月3日(金)14:00~16:00
場所:東京大学先端科学技術研究センター3号館2階207号室
※40人程度が着席できる比較的小さな部屋になります。
主催:東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー系
情報保障:手話通訳・文字通訳
参加費:無料(事前登録不要)
〈お問い合わせ先〉
バリアフリー分野 田中 みわ子
電子メール:mtanaka@bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5452-5491
ファクス:03-5452-5062
☆その他何か個別にご要望等がありましたらご相談下さい。ただし、こちらでは対応できないこともございますので、その点は予めご了承下さい。
- 2010年9月9日:イベント開催
第5回バリアフリーシンポジウム:痛みはなくすべきか?——「回復」を再考する
シンポジスト:
本田哲三(輝山会記念病院 総合リハビリテーションセンター総長)
上岡陽江(ダルク女性ハウス代表)
熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター特任講師)
コメンテイター:
福島智(東京大学先端科学技術研究センター教授)
星加良司(東京大学教育学研究科講師)
司会:
飯野由里子(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
〈概要〉
自分にとって大切なものが失われたり傷ついたりしたと感じたとき、また社会生活を送っていくに当たって深刻な問題状況に直面したとき、私たちはそこからの「回復」を願うものです。そして私たちの周りにはそうした「回復」を助け、導くための様々な場が存在しています。ではこの「回復」とはいったいどのようなことなのでしょうか?問題が起こる以前の状態に戻ることなのでしょうか?あるいは「普通」の社会生活に復帰することなのでしょうか?
この問いへの回答は、「回復」が求められている場によって様々ですが、少なくともそこには何らかのネガティヴな状態があり、その解消や緩和が希求されるという共通項があるといえます。ここで問題となるのは、その「ネガティヴな状態」とは誰が、どのようにして決めるものなのか、ということです。もちろん第一義的には問題に直面している本人が決めることだといえるでしょう。では、本人が表明する主観的な判断に基づいて「回復」をめざせばよい、ということで十分でしょうか?そこに専門知や社会規範はどのように関わっているのでしょうか?
たとえば、かつてリハビリテーションの世界では、障害を負った身体がそれ自体で「ネガティヴな状態」とされ、少しでも「普通」の状態に近づくことが回復なのだとみなされていました。しかしその後、主に身体障害者の中から、回復を強制する医療的な介入を拒み、そのままの身体で生きられるための社会の変革を求める主張が生まれました。その一方で、加齢に伴ってこれまでの「そのままの身体」による暮らしが継続できなくなるという事態や、進行性の病気を併発する人々の問題を視野におさめたとき、「回復ではなく社会変革を」という考え方の限界も見えてきます。これらは一見、社会の問題だけには帰責できない個人的な「痛み」の問題のように思えますが、では、「障害」に対しては社会変革が必要だが、「痛み」にはやはり回復が必要だ、という言い方は適切なのでしょうか?
本シンポジウムでは、慢性疼痛に対する認知行動療法の第一人者である本田哲三氏、依存症回復者のセルフヘルプグループに長年携わってこられた上岡陽江氏、脳性まひの当事者であるとともに臨床医でもある自身の経験を通じて「回復」についての思索を続けている熊谷晋一郎氏をシンポジストに迎え、「痛み」という「ネガティヴな感覚」に着目しながら、こうした課題について考えていきたいと思います。痛みについての近年の研究成果は、痛みという一見個人的な体験が、いかに心理・社会的な要因と深くかかわり合っているかについて、多くのことを教えてくれます。また、依存症回復者の世界では、痛みや回復についての独自の経験知が蓄積されており、痛みを安易に「個人的なもの」「取り除くべきもの」とみなすことの怖さを教えてくれます。さらに、身体障害者にとって「なくす」ものと「受け容れる」ものをいかに切り分けるのかという論点は、古くて新しい課題として問われ続けています。
すぐれて肉体的であると同時に社会的でもある「痛み」の性質を踏まえたとき、「痛みの除去」と「回復」との間の複雑な関係が見えてくるはずです。多彩なシンポジストとともに、この問題について考えてみませんか?
記
日時:2010年9月9日(木)13:00~17:00
場所:東京大学先端科学技術研究センター4号館2階講堂
主催:東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野/メリトクラシー研究会
参加費等:無料
情報保障:手話通訳・パソコン要約筆記
<お問い合わせ先>
バリアフリー分野 田中みわ子
電子メール:mtanaka@bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5452-5491
ファクス:03-5452-5062
☆その他何か個別にご要望等がありましたらご相談下さい。ただし、こちらでは対応できないこともございますので、その点は予めご了承下さい。
- 2010年6月4日:イベント開催
第4回バリアフリーシンポジウム:「当事者学」の誘惑——「学」と「当事者」との関係を再考する
シンポジスト:
市野川容孝(東京大学総合文化研究科教授)
菊地夏野(名古屋市立大学人文社会学部准教授)
倉本智明(東京大学大学院経済学研究科特任講師)
コメンテイター:
福島智(東京大学先端科学技術研究センター教授)
星加良司(東京大学教育学研究科講師)
司会:
飯野由里子(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
〈概要〉
近年「当事者学」が注目されています。一般に「当事者学」とは、それまで研究の対象として記述・分析されてきたさまざまな「弱者」の経験/問題を、当の「弱者」自身の視点から主体的に再定義する学術分野を指します。女性学・障害学・患者学といった「当事者学」が、他者によって奪われてきた力を「弱者」が取り戻していく、あるいは手に入れていく上で果たした歴史的な役割については、一定の評価がなされているといえるでしょう。
しかし、なぜ「当事者学」でなければならなかったのか? と問いなおしてみることによって、浮かび上がってくる問題もあります。第一の問題は、当事者にとっての「学」の意味に関わっています。社会的周縁に置かれてきた「当事者」たちの経験や問題を、あえて「学」的な知識体系を用いて語りなおすことにはどのような意味があるのでしょうか? また、それはなぜ必要とされたのでしょうか? もちろん、「学」という名付けを獲得すること自体にメリットを見いだしている人もいるでしょう。しかし、「学」的な知識体系を利用することによって、逆に見落とされてしまったり覆い隠されてしまったりするものもあるのではないのでしょうか? 第二の問題は、「学」にとっての「当事者(性)」の意味に関わっています。社会的周縁に置かれている「当事者」たちの語りや声は、「学」的営みの中にどのようなものとして位置づけられるべきなのでしょうか? また、「当事者」の語りや声は、既存の「学」的営みにどのようなインパクトを与えうるものなのでしょうか? さらに、そもそもそこで「当事者」として想定されているのはどのような存在のことなのでしょうか?
本シンポジウムでは、こうした疑問を出発点にして、社会学、障害学、フェミニズムの専門家をシンポジストとしてお招きし、「学」と「当事者」との関係について議論を交わしたいと思います。はたして「当事者学」には依然として役割はあるのか? あるとすればそれはどのようなものか? そんな課題について論点を整理し共に考えていく場になればと思っています。
記
日時:2010年6月4日(金)13:30~17:30
場所:東京大学先端科学技術研究センター3号館中2階セミナー室
主催:東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野/メリトクラシー研究会
参加費等:無料
情報保障:手話通訳・パソコン要約筆記
<お問い合わせ先>
バリアフリー分野 飯野 由里子
電子メール:iino@bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5452-5491
ファクス:03-5452-5062
☆その他何か個別にご要望等がありましたらご相談下さい。ただし、こちらでは対応できないこともございますので、その点は予めご了承下さい。
- 2010年3月10日:イベント開催
第3回バリアフリーシンポジウム:「『当事者の語り』に仮託されるもの--Living Libraryを語る」
シンポジスト:
平井麻紀(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)
近藤武夫(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
飯野由里子(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
コメンテイター:
福島智(東京大学先端科学技術研究センター教授)
大河内直之(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)
司会:
星加良司(東京大学教育学研究科講師)
〈概要〉
当事者の「生の声」を聞くことにどのような意義があるのか、じっくり考えてみたことはありますか? 私たちの周りには、学校教育、研修会、各種イベントなどの場を通じて、様々な状況に置かれている人々の声を直接聞く機会が、思いのほか存在しています。これまで当事者抜きで「問題」が定義され、それに基づいて重要な判断・決定が下されてきた、ということを考えると、こうした機会が増えたことは望ましいことだと考えられています。
しかし、当事者の「生の声」を聞く場においてメッセージを発信しているのは、いわゆる「語り手」だけではありません。そうした場を設定する主催者の側も、ある特定の意図やメッセージを持っているはずです。にもかかわらず、後者の人々の姿は、これまでクローズアップされてきませんでした。おそらく、主催者の側からすると、「当事者なら誰でもいい」というわけではないでしょう。だとすると、主催者側が期待する「語り」、いわゆる「良い語り」というものが暗黙的に存在している、ということになります。では、その「良さ」とはどのようなものなのでしょうか? 何か独自の基準があるのでしょうか? さらに、そうした語りが当事者の「生の声」を通して語られることにどのような意味が与えられているのでしょうか?
今回は、以上のような問題意識を共有し、「当事者の語り」の新しい可能性を追及している取り組みとして、2000年にデンマークで始まり2008年から日本でも実施されるようになった「Living Library(リビングライブラリー)」というイベントに焦点を当て、こうしたテーマについて考えていきます。様々な困難を抱える当事者を「生きている本」として貸し出し対話の機会を設けることで、多様性に開かれた社会の実現に寄与しようとするリビングライブラリーの取り組みにおいて、「当事者の語り」はどのように捉えられているのでしょうか? このシ
ンポジウムでは、イベント運営に携わっている東京大学先端科学技術研究センターのメンバーをシンポジストに迎え、この取り組みの持つ意義と可能性を探ります。この議論を通じて、「当事者の語り」を用いた従来のプログラムのあり方に一石を投じるとともに、新しい展望を拓きたいと考えています。
参考URL
Living Library Japan: http://living-library.jp/
記
日時:2010年3月10日(水)14:00~17:30
場所:東京大学先端科学技術研究センター4号館2階講堂
主催:東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野/メリトクラシー研究会
参加費等:無料
情報保障:手話通訳・パソコン要約筆記
<お問い合わせ先>
バリアフリー分野 飯野 由里子
電子メール:iino@bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5452-5491
ファクス:03-5452-5062
☆その他何か個別にご要望等がありましたらご相談下さい。ただし、こちらでは対応できないこともございますので、その点は予めご了承下さい。
- 2009年9月16日:イベント開催
第2回バリアフリーシンポジウム:「イメージはいかに『消費』されるのか? ——メディアにおける障害者」
シンポジスト:
篠原美緒(NHK制作局 第1制作センター 文化・福祉番組部)
浅見克彦(和光大学総合文化学科教授)
松波めぐみ(世界人権問題研究センター専任研究員)
コメンテイター:
福島智(東京大学先端科学技術研究センター教授)
星加良司(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
司会:飯野由里子(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
〈概要〉
これまで「メディアにおける障害者」というテーマをめぐっては、「障害(者)」イメージの形成にあたって、メディアの果たす役割は大きいという認識の下、「障害(者)に対する否定的・差別的な態度を助長しないために、メディアは何に注意すべきか」や「障害者自身はメディアの中でどのように表現されたいのか」といったことが活発に議論されてきました。こうした取り組みの結果もあり、近年のテレビ等のメディアに登場する「障害者」の描かれ方を見てみると、そこにはひところよく見られた「がんばる障害者の感動ストーリー」といった典型的な「障害者もの」のパターンだけでなく、障害者が身近な存在であること、「普通」の感覚を持った存在であることを強調するものや、障害者自身の経験しているリアリティをできるだけ忠実に伝えようとするものなど、多様なヴァリエーションが生まれてきています。そのような変化を遂げつつも、「障害者」というキャラクターそのものは、魅力的な番組制作における重要な要素の一つであり続けていると言えるでしょう。
では、私たち視聴者の側は「障害者」というキャラクターを介して、何を感じ、何を受け取っているのでしょうか。また、そのとき感じられる「感動」や「心地よさ」はなぜ、どのようにして生まれてくるのでしょうか。こうした点を解き明かしてみることで、私たちの社会が「障害」や「障害者」に投げかけているまなざしがどのようなものであるのか、そしてそうしたまなざしがどのような権力関係の中で形成されているのかといったことが見えてくるかもしれません。
本シンポジウムでは、NHKの「爆笑問題の日本の教養」で本年6月に放送された福島智(東大先端研教授、全盲ろう)の出演番組を手掛かりに、この問題について考えてみたいと思います。まず、番組の担当ディレクターをゲストとしてお招きして番組製作の経緯や裏話、放送後の反応などについてお話を伺います。その上で、障害者のメディア表象の問題について研究されている専門家、およびカルチュラル・スタディーズの観点からメディア文化論を展開されている専門家にシンポジストとして発題をいただき、私たち先端研スタッフを交えてディスカッションを行いたいと思います。ご関心をお持ちの皆さんのご参加をお待ちしています。
記
日時:2009年9月16日(水)13:00~17:00
場所:東京大学先端科学技術研究センター4号館2階講堂
主催:東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野/メリトクラシー研究会
参加費等:無料
情報保障:手話通訳・パソコン要約筆記
<お問い合わせ先>
バリアフリー分野 飯野 由里子
電子メール:iino@bfp.rcast.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5452-5488
ファクス:03-5452-5062
☆その他何か個別にご要望等がありましたらご相談下さい。ただし、こちらでは対応できないこともございますので、その点は予めご了承下さい。
- 2009年7月14日:マンスリーレポート#005を掲載
マンスリーレポート#005を掲載しました。
- 2009年6月20日:市民公開フォーラム開催案内
東京大学教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターの開設を記念して開催される市民公開フォーラム「教育のバリアフリー、そしてバリアフリーの教育」に福島智教授と中邑賢龍教授が出演されます。
本フォーラムの詳細についてはこちらをご覧下さい。 - 2009年2月23日:マンスリーレポート#004を掲載
マンスリーレポート#004を掲載しました。
- 2009年2月19日:特別シンポジウム開催
篠原睦治さん(和光大学現代人間学部教授)をお招きし、以下のシンポジウムを開催しました。
【特別シンポジウム】
「バリアフリー」でいいのか?!
——大学の「バリアフリー」を問い直す
〈スペシャルゲスト〉
篠原睦治氏(和光大学現代人間学部教授)
〈司会〉
福島智(東大先端研教授)
〈シンポジスト〉
大河内直之(東大先端研特任研究員)
星加良司(東大先端研特任助教)
飯野由里子(東大先端研特任助教)