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聴覚障害児の日本語言語発達のためにALADJINを聴覚障害児教育の領域から読み解く

概要

 厚生省の感覚器戦略研究の研究成果として発表された「聴覚障害児の日本語発達のために〜ALADJINのすすめ」のチームリーダーを務められた岡山大学医学部の福島邦博先生の講演を中心に、聴覚障害児教育の専門家や当事者を招き、東京大学先端科学技術研究センターで福島研究室主催のシンポジウムを2012年9月23日に開催しました。

 ALADJINとは、平成19年より、厚生省の感覚器障害児の医療と教育を考える戦略研究としてスタートしたプロジェクト。平成24年1月にその研究成果報告として「聴覚障害児の日本語言語発達のために〜ALADJINのすすめ〜」が、テクノエイド協会から刊行されました。

 ALADJIN(アラジン)とは、戦略研究が提唱する日本語言語発達検査のパッケージ(各種の言語発達検査を組み合わせたもの)であると報告書に記されています。平成21年から1年間で、600名以上の聴覚障害幼児小学生が、検査を受けました。

 戦略研究では、日本語を構成する重要な要素(ドメイン)として、『音韻の認識』や『認知機能』が下位に存在し、その上に『語彙』、『統語』、『談話』、『語用』の各要素が存在するとしています。それらの要素(ドメイン)ごとに、日本語言語力を評価する検査が組まれました。また、テストバッテリーALADJINには、絵画語い発達検査、失語症構文検査等のドメインごとの検査に加え、質問-応答関係検査、標準学力検査等の総合的な言語発達の検査や、知的障害等のスクリーニング検査も含まれています。

 

 シンポジウムは、主催者である福島智先生(東京大学先端科学技術研究センター)の挨拶から始まりました。ALADJINの報告書をまとめた福島邦博先生の講演の後は、聴覚障害児教育の4人の専門家がこの研究成果をどう読み解いたか、それぞれの立場からお話いただきました。手話学の立場からは、武居渡先生(金澤大学)。聾教育の立場からは、中井弘征先生(奈良県立ろう学校)。ろう児の言語発達研究の立場からは、齋藤佐和先生(目白大学)。当事者の立場からは、森壮也先生(JETROアジア研究所)。活発な議論が交わされました。

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